【ダイヤ維持修行2026】3/28がラストフライト。関空=宮古直行便、運休直前の「宮古タッチ」完全搭乗記

ANA

惜別のプロローグ

 「空を飛ぶことが『日常』になればなるほど、不測の事態は牙を剥く。ある日はシステムトラブルに翻弄され、石垣から関空へ、そしてそのまま会社へと直行するような修羅場を潜り抜けることもある。
 しかし、2026年の私のログに刻まれたこの日は、そんな喧騒とは無縁の、どこまでも青く、そして切ない時間が流れていた。
 目指すは、3月28日をもってその歴史に一旦の幕を下ろす、関西国際空港からの宮古直行便。
10時発、ANA1747便。機材はB737-800。運休を目前に控えたこの『ラストチャンス』の翼に、私はプレミアムクラスのシートを確保した。それは、消えゆく航路への、私なりの最大限の敬意だった。」

関空の朝とB737-800

 午前10時。関西国際空港の国内線ターミナルは、ほどよい活気に包まれていた。かつては当たり前のように掲示板に並んでいた「宮古」の二文字。しかし、その日常も、3月28日を境にこの場所から姿を消します。
 大型機のような威圧感はない。けれど、そのコンパクトな機体はどこか健気で、これから始まる短い、けれど濃密な空の旅を予感させてくれます。
 運休が決まっているこの航路を、最後にあえて「プレミアムクラス往復」という形で刻みます。それは、効率を追い求める修行の合間に見つけた、私なりの贅沢であり、この翼への惜別でもあります。

消えゆく『蒼の特等席』。B737-800、旧仕様シートの意外な実力

 プレミアムクラスのキャビンで私を迎えてくれたのは、使い込まれた風合いが美しい「革張り」のシートでした。目の前に広がる鮮やかな「蒼」は、まさにANAのアイデンティティそのもの。
 最近の電動・薄型シートと比べれば、レバー操作で動かすその造りは確かに「アナログ」かもしれません。しかし、実際に身を沈めてみると驚かされます。

 驚くほど、体にフィットする。

 特に感動したのは、リクライニングした時のホールド感です。最近のシートにありがちな、体がじわじわと前に滑り出してしまうような不安定さが全くない。革の質感が優しく体を捉えて離さないため、どれだけ深く倒しても「ずり落ちない」という不思議な安心感に包まれます。
 3月28日をもってこの路線から去るB737-800。この『蒼の特等席』に座って宮古島を目指せるのも、あと僅かな期間しか残されていません。

空の上の至福。朝食から昼食へ繋ぐプレミアムな食の連鎖

【往路:朝の光と愉しむモーニング】

 10時発という、少し遅めの出発。シートに身を委ねてしばらくすると、プレミアムクラスならではの「朝食」が運ばれてきます。箱を開けた瞬間に広がる、彩り豊かな季節の味。
 ほどよく温められたお料理と、澄んだ空の青。今日のように会社へ直行しなければならない修羅場の朝とは対照的な、この「何にも邪魔されない時間」こそが、修行僧に与えられる最高のご褒美かもしれません。

  • ごぼうグラハムドッグ
  • 生ハムクロワッサン
  • キャベツと赤ピーマンのスープ
  • フルーツ

【復路:タッチの醍醐味、贅沢な昼食】

 宮古島へ着陸し、その熱気を感じる間もなく再び機内へ。修行僧にとっての「タッチ」の面白さは、数時間、あるいは数十分という短いスパンで、今度は「昼食」の時間がやってくることです。
「さっき朝食をいただいたばかりなのに」と少し贅沢な罪悪感を感じつつも、丁寧に盛り付けられた昼食を前にすれば、箸は自然と進みます。
 同じ路線、同じ機材。けれど、流れる時間と差し込む光、そして運ばれるメニューが変わる。この「食のバリエーション」を往復で堪能できるのも、直行便が健在な今だからこそできる贅沢な時間の過ごし方です。

  • 厚焼き玉子、じゃこ天、小鯛ひしお焼き
  • トラウトサーモンマリネ
  • いもたき
  • 醤油めし
  • 味噌汁

【復活の『かおるカボス』と、至福のおつまみタイム】

 食事の前後、あるいは食後のひとときに欠かせないのが、ANAの代名詞とも言えるあのドリンク。 そう、「かおるカボス」です。

 一時期、メニューから姿を消して寂しい思いをしていたファンも多いはずですが、今、しれっと(しかし堂々と!)復活を遂げています。
 プレミアムクラスの蒼いシートに座り、お馴染みのミックスあられを頬張りながら、カボスの爽やかな香りを喉に流し込む……。

 「ああ、これだよ、これ。」

 思わず独り言が漏れてしまうほどの安心感。最新の設備も良いですが、こうした「変わらない味」の復活こそが、私たち修行僧の心を一番解きほぐしてくれるのかもしれません。

旅の終わりは、予期せぬ一期一会

 関空に無事着陸し、この日の旅の締めくくりは、いつもとは少し違うルートを選んだ。普段は南海ユーザーの私だが、この日は妻と梅田で待ち合わせをしていたため、JRの関空快速へと乗り込む。
 慣れない車内に揺られていると、韓国から来たと思われるご家族に声をかけられた。「西九条に止まるか」という問い。
そもそも利用経験が乏しい路線な上、ハングルはさらに分からない。一瞬戸惑ったが、英語での問いかけに「Wait a minute」と調べ、確信を持って「This train stops at Nishikujo.」と伝えた。
 西九条の手前で「Next stop is Nishikujo.」と声をかけ、去り際に「Have a nice trip!」と別れる。
 修行という名のストイックな移動の最後に訪れた、何気ない英語での会話。3月28日に消えゆく航路への惜別、そして予期せぬ旅人との交流。
 会社へ直行しなければならない明日が待っていようとも、こうした瞬間があるから、私はまた空へ、そして旅へと向かってしまうのだろう。
 さて、肝心の宮古島での「超短期滞在」の様子は……。 次回の【宮古空港編】でお届けしたいと思います。

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